ポールスターの名物料理、ドライカレー。これは明治期、世界の食通たちを魅了していた日本郵船の客船レストランで出されていたものだ。
「ドライカレーはずっと同じレシピで、基本的には昔からの味を崩さずに作っています。コクを補うものとして「クノール® ビーフコンソメ」を入れていますが、これは20年以上も前からレシピに組み込まれていました。もちろん最初は自家製のブイヨンをとっていたのでしょうが、コストや手間の面から代用していったのだと思います。」とは総料理長の岩谷修司さん。現代人の舌に合わせるため、辛みを少し減らしたりレーズンやピーナッツバターをかくし味に入れたりと、独自の工夫を加えたそうだが、「クノール® ビーフコンソメ」は変わらずに使い続けている。また、洋食の要であるデミグラスソースにも活用しているという。
「新丸ビルの改築で今のビルに移転し、厨房スペースが半分になってしまい、仕込みスペースが足りないので、冷凍のフォンドボーに切り替えました。本来はそれを煮詰めてソースにするのですが、それではコストがかかりすぎてしまいます。そこで「クノール® ビーフコンソメ」を入れ、味とコクを補っています。その状態ではまだ水っぽいので、コンスターチでとろみをつけてバターで仕上げ、さらに前回作ったデミグラスソースを継ぎ足して味をまとめます」。
粉体コンソメを使う理由として、料理と水分の関係も見逃せない。
「液体のダシを使うとある程度水分を飛ばさなくてはならない場合があります。例えばカニクリームコロッケ。カニのほぐし身だけでは出ないうま味をプラスするために、「クノール® スペシャルフィッシュブイヨン」を入れます、粉末のブイヨンですからベシャメルソースの濃度が変わらず、煮詰めたりして調節する必要がないので便利です。ソースを作る時も同様ですね。ずっと使い続けています。」
厨房では、粉体コンソメがコスト・時間・ストックの問題をクリアにし、伝統の味を支える。フロアでは、鈴木マネージャーが大切な予約台帳を片手に常連客にきめ細やかく対応。かわらない味と接客のよさに長年のファンがついている。