山川:店名の由来をお聞かせください。コロナ渦で客層など変わったことはありますか?
高田氏:元々は乾物屋から始まって、スーパーもやっていたんですが時代の流れで閉めてしまったんです。地酒とワインを扱う酒屋と飲食店を義兄がやっています。兄弟で会社は違うんですが、大桝という名前を残していこうと一生懸命やっています。客層は、若返ってる感じで、年配の方は少ないですね。昔ながらの旦那衆や落ち着いたお客様は、今は控えている感じ。どんどん若い世代が、増えているような気がします。外国のお客様も多いんですよ。あと、飲み方のスタイルも変わってきていますよね。だらだら飲まなくなった。うちは、観光地にあるんですけど、地元の方に来てもらいたいので、深夜遅くまで営業という形を取っています。地元の人を呼び込むには、ちゃんと料理を作ること。出来合いじゃなくて手作りで美味しいものを作る努力、なるべく安くする努力、できる限り接客をするということを心掛けています。
写真)大衆酒場大桝とワイン厨房Daimasuの2店舗を浅草で展開。
山川武司 Takeshi Yamakawa
株式会社 Thank you 代表。 レストランや食品メーカーでの商品開発などを経て、 メニュー開発、 撮影、 スタイリング、料理教室などの、 食の魅力を発信。 コネクションも広くトップシェフらとの交流も多い。
下町価格を維持する秘訣
山川シェフと「旬」 と「 繁盛」 を探る。
心を込めた手作り料理と接客で老舗暖簾を守る
お客様と従業員ともに居心地のいい店作り
山川:食材や光熱費など色々なものが高くなっていて、工夫されていることや、人材の確保などは、どうされていますか?
高田氏:値上がりするものはどんどん上がる、でも値上げしない努力はしようと思っています。しかし、安くする努力ばかりして質が落ちて、残れない店になってもしょうがないので、適正な価格で提供できるようにしていきたい。食に関しては、ダチョウを西伊豆で育てたり、狩猟をするので地域密着で鹿や猪の駆除などの手伝いをしていて、それを自分たちで作った施設で解体して持って来るという流れで、一年中ジビエやダチョウが食べられて、お客様に安く還元するを目指しています。新鮮な素材を提供できるスタイルにこだわっていて、猟で茨城や静岡、北海道に行くので、そこで農家さんと会ったり、野菜や食材を直接現地で見ています。料理長とは、若い頃からの飲み友達なんです。今うちで働いてもらってるスタッフの多くは、昔からの知り合いで気心が知れていて、彼らが働きやすい環境で野生の肉を軸においしい料理を提供する。こだわりをずっと持ち続けること、お客様に居心地のよいサービスをすることが、長く続ける上で大事なことだと思います。
写真)オーナーの高田氏が仕留めた100㎏クラスの鹿の骨/ダチョウの卵
旬の食材×こだわり食材
山川:3月の旬食材、新玉ねぎを使って1品お作り頂きましたが、他に玉ねぎを使った料理があったら、教えてください。狩猟で色々な肉を扱うと思うんですけど、普通の肉に比べて苦労はありますか?
今村氏:玉ねぎを丸々蒸して、スープを使ってあんかけにするとかですかね。一番最初に習った店が素材そのものを大事に料理するところで、なるべく素材をそのまま活かして使うのが好きです。玉ねぎを蒸す時、あまり手を加えずにその素材を味わいたいので、味を入れないで一回作ってみて、何か足りないなと思ったらスープを足して、真空にして低温調理で味を入れたりだとか、煮込んで味を入れたりしています。鹿とか捌く機会ってなかなか無いじゃないですか。YouTubeで捌き方を見たりしていて、いかに無駄なく捌けるかや前足と後足の捌き方が違うので、鹿肉を扱えることは本当に勉強になります。鮮度の良いお肉なので、それを玉ねぎと合わせて、炒め物にしたり、焼売や餃子にしています。
写真)鹿肉を使った「ジビエ焼売」/料理長の今村氏は、中華料理が専門だが、幅広い料理経験を活かして腕を振るう
粉末調味料をベースに料理人の色を出す
山川:調味料についてですが、乾物屋をされいたので色々な知識があるかと思うんですけど、粉体調味料のイメージはいかがですか?
高田氏:全部が全部だしを取っていたら、手間がかかるし大変じゃないですか。鹿料理には、骨を無駄にしたくないのでだしを取ったりしますが、粉末の調味料などを使って作る料理もあります。味がまとまるし、使わないと今の値段では全くできない。店を継続していく上で、使わせてもらっています。
今村氏:粉の方が使い勝手がいいし、日持ちするので長期置いていても味が変わらない、酸化しないとか、ダメになりずらいイメージがあります。粉末調味料は、手軽で便利な調味料ですが、それを100%そのまま使うのではなくベースとして使って、そこに他の調味料など何かしらを足して料理人の色や特徴を出していく。今まで勉強してきたものを自分なりに取り入れて、アレンジして使います。
写真)右上・高田オーナー/右下・今村料理長
テーマは「新玉ねぎ+1食材」
新玉ねぎとゆで豚
新玉ねぎ+豚肉 シンプルで最強の組合せ
「味の素®」と「瀬戸のほんじお」で、新玉ねぎの辛みとえぐみをやわらげる。
材料(一皿分)
A)----------------------------------
新玉ねぎ(くし形切り) 100g
「味の素® Ⓢ」 3g
「瀬戸のほんじお」 3g
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豚しゃぶしゃぶ用スライス 100g
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B)----------------------------------
鰹節 適量
しょうゆ 少々
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作り方
① 鍋に湯を沸かし、豚肉をゆで、冷ます。
② ボウルにAを入れて混ぜ、しばらく置き、①と合わせる。
③ 器に②を盛り付け、Bをかける。
鉄板焼き新玉ねぎ 粗挽ペッパーハニーソース
焼いて甘味を増した新玉ねぎ+唐揚げに甘辛スパイスソースをたっぷりと
「GABAN®」スパイスソース黒胡椒&ガーリックにはちみつを加えスパイス感をだす。
材料(1人分)
新玉ねぎ(輪切り) 1個
鶏唐揚げ 1個
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A)----------------------------------
新玉ねぎ(すりおろし) 10g
「GABAN®」スパイスソース 黒胡椒&ガーリック 10g
はちみつ 20g
粗挽き黒胡椒 0.5g
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サラダ油 10g
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作り方
① ボウルにAを入れてよく混ぜ合わせる。
② 熱した鉄板にサラダ油をひき、新玉ねぎに焼き目をつける。
③ ②に唐揚げをのせ、①をかける。
丸ごと新玉ねぎのオニグラ風
新玉ねぎ+粉チーズでチキンコンソメが染みたオニオングラタン風ロースト新玉ねぎ
新玉ねぎに切れ目を入れ「クノール® チキンコンソメ」が染みわたりうま味を凝縮。
材料(一皿分)
新玉ねぎ 1個(約200g)
「クノール® チキンコンソメ」 8g
A)----------------------------------
水 140g
オリーブオイル 15g
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粉チーズ 8g
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作り方
① 新玉ねぎの皮をむき、格子状に切れ目を入れ、「クノール® チキンコンソメ」をふる。
② 耐熱容器に①、Aを注ぎ、粉チーズをかけ、180℃のオーブンで50分程度じっくりローストする。