山川:店名のスクレサレの由来をお聞かせください。奥様とお二人で切り盛りされて何年目になりますか?
中西氏:店名をいろいろ考えている時に妻の知り合いのフランス人に教えてもらった、フランスの現代作家ミシェル・トゥルニエの「オリエントの星の物語」という本にある造語で、甘じょっぱいという意味なんです。僕らが始めたころは、あまりスクレ・サレという言葉は、浸透していなかった。「スクレ・スクレ 甘い・甘い」よりも、「スクレ・サレ 塩がちょっと入った甘じょっぱい」方が、より甘さが引き立つじゃないですか。人生も甘じょっぱいよねって。それで短くて良い名前だなと名付けました。荒木町で1998 年にオープンして、こちらに移って足掛けで24 年。荒木町は、スタッフ5、6人でやっていたのですが、もう50 過ぎたら二人でゆっくりやろうかと話していたのでいいタイミングかなと、こちらの新宿御苑に移ってカウンターと真ん中にテーブルを置いた形の店にしました。
写真)店名の由来となった本「オリエントの星の物語」
山川武司 Takeshi Yamakawa
株式会社 Thank you 代表。 レストランや食品メーカーでの商品開発などを経て、 メニュー開発、 撮影、 スタイリング、料理教室などの、 食の魅力を発信。 コネクションも広くトップシェフらとの交流も多い。
経験と調理機材の巧みな合わせ技
山川シェフと「旬」 と「 繁盛」 を探る。
店名「スクレ・サレ」の由来はフランス語で甘じょっぱい
長年の経験と二人分働く調理機材で効率アップ
山川:一人で調理されていて大変なことなどありますか?最近、低温調理といった調理法などありますが、どう思われますか?
中西氏:一人になって作業が増える訳ですよ。機材を入れることによって二人分働いてくれる。スチコンは仕込みで使って、営業中はオーブン。今日の鴨ですが、スチコンで焼かないの?って感じられたと思うんですけど、スチコンだと常に気を使わないといけないのですが、そこはガスのオーブンで、長年やってきた自分の経験、温度や入れた時の感覚をもとにすると仕上がりが良いんですよ。それと以前は、ソースはボウルに氷を入れて冷やしていたのですが、瞬間冷却するブラストチラーに入れておけば冷気で冷える。食中毒の問題や衛生面、効率のために導入しています。また、ハムを仕込むのにスチコンの低温で3時間くらいに設定して、ピーと鳴るまでは他の事ができる。今は一人なので、良い機材があれば切り替えて、他のことに使える時間にする。この時間がとても大事なのです。
写真)中西貞人オーナーシェフは、フランスに渡り有名料理店で修業。荒木町スクレ・サレを閉めた後、キャピトル東急を経て、新宿御苑でスクレ・サレを再オープン。
お客さまを飽きさせない心配り
山川:2月の旬食材、鴨を使って1品お作り頂きましたが、味付けや付け合わせにお客さまを飽きさせない心配りなどありましたら教えてください。
中西氏:野鴨だと旬って決まっているじゃなですか?いつでも食べられる鴨も、冬場の寒さを乗り越えるのに脂を蓄えるから、2月が一番うまいんですよ。ガチョウの油でゆっくりコトコトと3~4時間鍋で煮て、最後まで皮目をひっくり返さないで、カリッと焼くことで皮がパリッとなる。中はホクク、皮はパリッが鴨のコンフィーの特徴です。今日はシンプルにバルサミコ。パセリをふって粒マスタードを添える。今どきのビジュアルじゃないオーソドックスな一品なので、フランス人も懐かしいと言ってくれます。ところで、今日の付け合わせは鴨に白いんげん豆ですが、他のものとの兼ね合いで、被らないようにしています。そのためにメニューにはソースも書きません。同じものにならないようにオーダーが入ってから作るので、それがアラカルトの大変なところでもあり、やりがいのあるところです。
写真)アラカルトでいただける鴨のコンフィー/クラシックなスタイルで丁寧に仕込んだ逸品
使い勝手がよくて場所を取らない粉末調味料
山川:色々なものが高騰していて食材や調味料など、どのような対応をしていますか?
中西氏:海外からの材料は、倍以上に上がったんですよ。あまりにも高くなりすぎちゃったから、買わなくなった食材もあります。1 度メニューから外して、収まった頃に使えばいいやと思っている食材もあります。宮崎の日南に知り合いがいて、市場に出ない色んな魚が混じっている根魚を1 回の仕込みで10 ~ 20 ㎏頭ごとつぶして、トマト、野菜、サフランを全て入れてスープドポアソンを作り、それをブイヤベースに派生させます。味の素さんの調味料は、最近塩分控えめとかありますよね。時代によって味の傾向など変わっていると思うんですけど、ほんだしは、研究されていて変わらない味ですよね。ビーフコンソメとチキンコンソメは、ちょっと入れて野菜とか炊いたら味染みがいいし、カレーに入れたりするといいですよ。粉末は、日持ちするし、使い勝手も良くて場所を取らない。粉末は粉末の良さがありますよね。
写真)新鮮な根魚を大鍋で仕込んでうま味が凝縮したブイヤベー
スに
テーマは「寒い冬に食べたい大人の嗜み」
鴨のねぎ和え
最強の相性、鴨と葱を合わせた和え物
「ハイミー®」でねぎの辛みと鴨ハムの塩味を和らげる。
材料(2人分)
A)----------------------------------
合鴨ハム(スライス) 45g
長ねぎ(斜めスライス) 45g
---------------------------------------
B)----------------------------------
「ハイミー®」 0.1g
オリーブオイル 4g
レモン汁 3g
---------------------------------------
一味唐辛子 少々
---------------------------------------
作り方
① ボウルにA、Bを入れて和える。
② 器に①を盛り付け、一味唐辛子をふる。
鴨の小鍋仕立て
ごぼうの香りと共にいただく鴨鍋
「ほんだし® 」かつおだしとサラダ油をもみ込み、鴨と鍋つゆの一体感を出す。
材料(2人分)
鴨もも肉(ひと口大) 150g
A)----------------------------------
「ほんだし® 」かつおだし 2g
サラダ油 10g
---------------------------------------
ごぼう 100g
---------------------------------------
B)----------------------------------
水 300g
「ほんだし® 」かつおだし 2.5g
しょうゆ 22g
酢 12g
---------------------------------------
C)----------------------------------
水菜(ざく切り) 20g
ゆすの皮 適量
---------------------------------------
作り方
① 鴨にAをもみ込む。
② 鍋にBを入れてよく混ぜ、ごぼうを入れて沸かし、①を入れてさっと煮る。
③ ②にCを添える。
鴨のたたき風
さっぱりだし酢を添えたお酒がすすむクイックメニュー
「味の素® Ⓢ」とオリーブオイル、にんにくで風味が増し鴨ハムの甘味を引き出す。
材料(一皿分)
合鴨ハム(スライス) 45g
A)----------------------------------
「味の素® Ⓢ」 0.1g
オリーブオイル 10g
にんにく(スライス) 3g
---------------------------------------
B)----------------------------------
「だし自慢」万能あわせだし 10g
酢 5g
---------------------------------------
玉ねぎ(スライス)55g
かいわれ 適量
---------------------------------------
作り方
① 合鴨ハムにAをかけ、しばし置く。
② 器に玉ねぎをしき、①、かいわれを盛り付け、合わせたBを添える。